
公開から1ヶ月がたった今でも大勢の観客が来場し、ますます盛り上がりを見せている本作。
この度、主演の綾瀬はるかさんが公開後のイベントに登壇。イベントでは、公開から1カ月を経た今の率直な心境や、国内外で広がる反響について語ったほか、事前にSNSで募集した質問に答える特別企画を実施。作品を愛する観客との交流を通して、映画の魅力や撮影時のエピソードをたっぷりと語る、貴重なひとときとなった。
周囲からの反響について綾瀬は「普段、観たよとお声がけをされないような方からも今回はお声がけいただくことがあって。さすが是枝監督の作品だなと思っています」とその影響力の大きさを改めて実感している様子。
さらに、身近な家族からの支持もあったようで、「母はこの作品がすごく好きみたいで。行くたびに相手を変えながら、5回も観たと言っていました」と明かし、会場を驚かせるひと幕も。綾瀬自身、「観る方によって受け取り方が違う作品だなと感じていて。だからもう一回観てみたいと言ってくださる方が多いように思う」と感じているとのことで、客席に向けて「皆さんは何回観てくださったんですか?」と逆質問。会場の半数近くが「複数回観た」「綾瀬さんに会いに来ました!」と手を挙げる一方で、「この日が初めて」という人の姿も。そんな会場の様子からも、まだまだ本作の魅力が広がり続けている様子がうかがい知れた。
またこの日のステージには、タイ、ベトナム、香港、韓国などアジア各国で展開されている海外版ポスターが勢ぞろい。その違いに「見たことがないポスターですね、素敵です」と目を輝かせた綾瀬。中でも韓国版のポスターは、日本版とは違うデザインが採用されているということもあり、「これも素敵ですね。本当にうれしいです」と喜びのコメント。さらに近く、是枝監督がタイとベトナムへ渡航する予定だと聞くと、「楽しみですね」と笑顔を見せた。

続いては、SNSや制作スタッフから募集した質問を書いた紙を質問箱の中に集め、そこから綾瀬が直接引いた質問に答える企画「箱の中にある『箱の中の羊』の質問を綾瀬はるかが答える」というコーナーを実施。
最初の質問は「演じ終えたあとも、ご自身の中に残り続けている感情や言葉はありますか?」というものであったが、綾瀬は「ありました」と返答。「わたしが演じる音々さんが、壁にぶつかって悩んでいる時に翔から質問をされて、『悩みたいの』と返すんです。今って、生成AIなどに質問すればすぐに答えが出てくるけど、悩んでいる時間こそが『その人らしさ』だろうなと思って。その言葉はすごく印象に残っています」。
そんな綾瀬自身、日常的に生成AIを利用することがあるそうで、「わからない時に聞いたりしています」と返答。作品のタイトルにちなみ、「綾瀬さんの頭の中には今、何がぎゅうぎゅうに詰まっていますか?」という質問には、「実はさっき、ちょっと生成AIで占いをしていたんです」と笑ってみせる。「みんなの生年月日を入力して『誰が一番なまけものかランキング』とか『食いしん坊は誰かランキング』を出して遊んでいました。『あ、この人はこういう性格なんだ』と知れて、今はそれが一番頭の中に入っていますね」と返答した。
またその占いの結果について「あくまで生年月日ベースなので正しいものではない、という前提の上でなんですが……わたし、休みの日はずっと寝ている『ねぼすけランキング1位』だと思っていたんですけど、まさかの最下位だったんです」と驚いた様子で報告する綾瀬。その理由として生成AIは「休みの日にはジッとしてられず、すぐに予定を入れてしまうから」と指摘していたというが、その指摘に綾瀬も「確かに当たっているかも。空いている時間があるとすぐに入れちゃうなと思いました」と感心した様子だった。

さらに「100年後の世界、綾瀬さんが活躍しているとしたら嬉しいですか? 嫌ですか?」という質問を受けた綾瀬は「自分自身が出ているとなると、勝後に言葉を作られたり、自分(綾瀬)だったらこう言いそうだよねということで、まとめられてしまうということですよね。それはどう使われるのか分からないので、ちょっと怖いかもしれません」と率直な思いを吐露するも、一方で「たとえば今まで自分が演じてきたキャラクター、『義母と娘のブルース』の亜希子さんみたいなキャラクターをAIにするなら、何かあった時に質問してみるのは面白いかなと思います」とユニークな視点で語った。
さらに100年後のテクノロジーへと想像を膨らませた綾瀬が「ここ数年で生成AIが急速に発展しているので、100年後はすごい世界になっていそうですよね」と語ると、「今、一番開発されてほしいのは『どこでもドア』みたいなもの。実家に帰りたい時にドアを開ければ、もう実家に着いているみたいな……でもそれだと全く運動しなくなっちゃって、逆によくないのかな?」と、ユーモアたっぷりな答えで会場を和ませた。
劇中で夫・健介を演じた大悟について「撮影現場では、大悟さんを何と呼んでいましたか?大悟さんからは何と呼ばれていましたか?」という質問も。それには「基本は『大悟さん』と呼んでいましたが、たまに役名の『健ちゃん』と呼ぶこともありました。大悟さんも『はるかちゃん』という時と、『音ちゃん』と呼ぶ時がありました」とコメント。大悟自身、最初、何と呼べばいいかすごく悩んでいたとのことで、「綾瀬さん」「あやせ」「はるかちゃん」「はるか」等々とシミュレーションをしていたというが、「結局、はるかちゃんになりました」と語る綾瀬の微笑ましいエピソードで、会場を笑顔に包み込んだ。

そしてこの日は、大悟からの質問も読み上げられ、「想像の中になりますが、旦那の健ちゃんに直して欲しいことはなんですか?」という質問が綾瀬に投げられた。すると綾瀬は音々の顔つきとなり、「健ちゃんはお風呂の中で洗い物をしていたので。ああいうことはしないでほしいですね。それと音々さんがもう一個怒ったことがあって。食事をぐちゃぐちゃにして食べる癖。それは嫌だって言っているでしょと、音々さんは怒っていました」と“妻からのクレーム”を代弁し、客席の笑いを誘った。
また劇中、甲本家の庭にレモンとオリーブの木が植えられる印象的なシーンにちなみ、「綾瀬さんが育てるなら何の木がいいですか?」という質問も。すると綾瀬は「レモンがいいかなと思いました」と即答。「レモンの木があると、そのまま取ってきて炭酸水に絞って。レモン炭酸水にしたらすごく美味しくて。レモンもいいですし、シソの葉もいいですし、梅の木もいいですね。生活が豊かになるものがいいですね」と食べ物の名前を次々と挙げて、会場は大盛り上がり。
だが、本作の劇中で苗を買いに行くシーンがあり、その撮影の後に「好きな苗を持って帰っていいですよ」と言われ、是枝監督と綾瀬はレモンの苗をもらっていったというが、「監督もわたしもすぐに枯らしてしまいました。わたしもロケに出た時に大丈夫かなと思ったんですけど、全然大丈夫じゃなかった」と告白し、会場の笑いを誘った。(※イベント後、監督は枯らしていなかったことが発覚)
また「もし未来の自分にひとつだけ“アップデート機能”をつけられるなら?」という問いかけには「決断力です」と回答。「生成AIによると、決断力がないと出てきた時があって。こっちがいいなと思っても、もうひとつの方を想像してみると、そっちはそっちの良さがあるな、いいなと思ったりして。なかなか物事を決められないことが多いですね」と語るも、「でもわたし、意外にレストランのメニューを決めるのは早いんです。でもお弁当で、魚か肉かで悩む時は、人に決めてもらっちゃいます」と明かし、会場を沸かせた。
そしてイベントの終盤、「この作品を“ひと言で表すなら”どんな物語だと思いますか?」と質問された綾瀬は、「前向きな旅立ちです」と返答。「観てくださる方によって受け取り方は違うと思いますが、登場人物のみんなが、最後には前向きな旅立ちをしているというか、一歩を踏み出している。そういう映画だという気がしています」と語った。

そんなイベントもいよいよ終盤。最後のメッセージを求められた綾瀬は、「公開から1ヶ月が経ち、すでに多くの方に観ていただけていることを本当に嬉しく思います。この作品は、見終わったあとに『やっぱり人は一人ではなくて、大切な誰かと繋がって、分かち合うことで成長につながるんだ』というお話だと思います。見終わったあとに、そういう誰かを思い浮かべたりするような、そんな優しい時間になったらいいなと願っています。上映はまだまだ続きますので、よろしかったらぜひ、大切な誰かを誘って、また劇場に観に来てください」と会場に呼びかけた。